和歌山県における空き家分布推定に関する研究

総務省統計局、(独)統計センター、和歌山県、和歌山市及び東京大学との共同研究プロジェクト

作成日時
公開日時
2020年12月01日 16時18分
最終更新
2020年12月01日 16時23分
更新回数
2回
作成者
機関名
東京大学
所属
空間情報科学研究センター
氏名
秋山祐樹
概要 和歌山市が保有する各種公共データ(住民基本台帳、水道使用量情報、建物登記情報)と、空き家分布の調査データを活用することで、和歌山市全域の空き家分布状況を迅速、安価に推定するモデルを構築するとともに、同モデルの信頼性の検証を実施。
また、同モデルを用いて、和歌山市全域の空き家率を推定し、その結果を地図化した結果を作成するとともに、和歌山市が実施した空き家分布の調査データから得られる真値とモデルによる推定値を比較し、その違いを考察。さらには、同モデルに公的統計データを追加して活用する方法についても検討。
カテゴリ 分析種:経済分析、社会分析
分野:暮らし、まちづくり
分析結果

●本研究を実施するにあたり、和歌山市から提供された公共データ(住民基本台帳、建物登記情報、水道利用量情報及び和歌山市空き家実態調査)の変数の概要やデータレイアウト構造を把握。

●住民基本台帳、建物登記情報、水道利用量情報及び和歌山市空き家実態調査は住所をキー変数としており、住所の表記ゆれ問題に対応する方法として「ジオコーディング」と呼ばれる住所を緯度・経度といった位置座標に変換する手法により、データ統合を実施。

●推計モデルの構築には、機械学習的分類手法のひとつであるXGBoost(etreme Gradient Boosting)を用いた。

●空き家分布推定結果と信頼性の検証について、市全域と地区別に分析を実施。

●今後、精度検証を踏まえた改善点を検討するとともに公的統計(国勢調査及び住宅・土地統計調査)のみからの推計の検証や、公的統計データを組み合わせた活用方法の検討行う予定。

令和元年度 研究成果報告書

●研究体制

研究代表者・分担者の別 氏名 所属機関
研究代表者 秋山 祐樹 東京大学 空間情報科学研究センター
研究分担者 馬場 弘樹 東京大学 空間情報科学研究センター
研究分担者 徳冨 智哉 和歌山県データ利活用推進センター

 

解説

EBPMに資するデータ利活用推進の一環として、総務省統計局、(独)統計センター、和歌山県、和歌山市及び東京大学と連携し、統計データや行政データを活用した行政課題解決に資する共同研究として実施するものである。

本研究を通して和歌山市が保有する各種公共データ(住民基本台帳、水道使用量情報、建物登記情報)と、和歌山市による空き家調査データを活用することにより、和歌山市全域の空き家分布状況を迅速、安価に推定するモデルの構築が実現した。また、同モデルの信頼性の検証も実施し、その結果、十分に高い信頼性であることも明らかとなった。さらに同モデルから得られた結果から、和歌山市全域の空き家率を推定し、その結果を組み合わせて活用する方法、あるいは公的データのみから空き家率を推定する方法についての可能性の検討も実施している。

未だ研究途上であることから、今後、令和元年度に構築したモデルを改善して信頼性の向上を目指すとともに、他自治体(和歌山県内の他の市町村)への展開も検討したい。具体的には和歌山市で構築したモデルを用いて、他の自治体の空き家の分布状況を推定したり、和歌山市では利用できなかった他の公共データを活用したモデルの構築などの展開が挙げられる。また、検討だけに留まった公的統計データの具体的な活用についても実施していきたいと考えている。