令和2年度和歌山県データを利活用した公募型研究事業
ごみ散乱状況調査とごみ箱設置社会実験に基づくごみの散乱防止効果の分析(令和3年度)
作成日時 |
|
||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
作成者 |
|
||||||||||||
概要 | 令和2年度の研究では、文献調査および自治体ヒアリングによりごみ散乱への対応策を把握した。また、ウォークスルー調査を実施して、ごみ散乱の状況と要因を把握した。その結果、和歌山市内の散乱ごみとして、街路ではたばこの吸い殻、公園では菓子類等の容器包装が多いことを確認した。 この結果を受け、令和3年度は、ごみ箱設置によるごみの散乱防止効果を検証するため,以下の社会実験を実施した。 (1) たばこの吸い殻の散乱密度が高い和歌山市新内の柳通りに投票灰皿を設置し、毎朝投票本数(吸い殻本数)を計測した(期間は令和3年9月6日~10月4日)。 (2) 菓子袋等の容器包装の散乱密度が高い和歌山市新南公園、および散乱密度は高くないが、現地で清掃活動が行われているなど将来的に維持管理の担い手が存在する向之芝公園に菓子袋回収用の木箱を設置した。設置期間は、新南公園は令和3年9月11日以降(協力いただいた小学校や連合自治会の意向もふまえて継続実施中)、向之芝公園は令和3年10月21日~12月28日である。 また、自治体のごみ散乱条例制定やごみ箱設置の意向を把握するために、和歌山県内の各自治体美化担当にアンケート調査を実施した。 |
||||||||||||
カテゴリ | 分析種:社会分析 分野:暮らし、環境、まちづくり |
||||||||||||
分析結果 | ①ごみ箱(投票灰皿・木箱)設置によるごみ散乱防止効果については、街路(投票灰皿設置)では明確に確認することができた。一方で、公園(木箱設置)では一部のごみでは確認できたが、全体としては明確に確認することができなかった.それには様々な要因が考えられる(コロナ禍、雑草繁茂、リバウンドなど)。 ②KDDI株式会社と技研商事インターナショナル株式会社が共同で開発したKDDI Location Analyzerを使用して、投票灰皿周辺の人流データを調べた結果、投票吸い殻本数と人流との間には正の相関があることが明らかになった。一方で新型コロナ感染者数や設置後の経過日数(認知などの累積的な効果)について統計的に有意な結果はみられなかったが、このような社会実験に対する定量的なデータ利活用の可能性や方法論を提示した。 ③ごみ散乱防止効果以外の成果として、ごみ箱(灰皿・木箱)設置をきっかけに、関連主体(街路ではアロチ商店街、公園では紀陽情報システム、新南小学校、新南地区連合自治会)との繋がりができ、社会実験継続が期待されることとなった(アロチ商店街主体での灰皿設置、新南地区連合自治会による毎週の木箱ごみ回収)。今後、関連主体による管理をもとに、ごみ箱設置の効果を長期的に見ていくことが有効ではないかと考えられる。また、社会実験の過程において、利用者にごみ散乱防止への意識が醸成されたと考えられる(柳通り沿いの飲食業者による清掃への動機づけ、新南小学校生徒による美化ポスター作成、木箱へのごみ投入増加など)。 ④自治体への意向調査の結果、すでに現在、公園にごみ箱設置をしている自治体が複数あること、また将来的にごみ箱設置を検討予定の自治体もみられた。また、本社会実験の結果について、関心を寄せられた自治体が複数みられた。 令和3年度研究成果報告書(表紙、目次、本文) 研究体制
|